今回は以前複数人に尋ねられたことがある
『シンガポールで起業って難しくないの?』
という点について書いていこうと思います。
*ここでは駐在員事務所や支店設立ではなく、現地法人設立の趣旨で書いています。
始めに
僕が起業したときですが、『起業サポート』みたいな会社はいくらでもあるんですけど、特に日系のそういう会社から見積り取ってみたら、ローカルのそれと比べて驚くほど高額だったので、もしシンガポールで起業したいと思っている人がいればその参考になれば幸い。
これはあくまで日系の会社の誹謗中傷ではなく個人的な経験と判断による記事です。また設立において一切の責任は負いません。
起業までの背景
僕はシンガポールで起業するまでに、およそ3年ほどシンガポールにある企業に勤めていました。
その3年のうちに、シンガポールという国に居心地の良さを感じ、もともと起業して自分でビジネスをしていきたいという思いも相まってシンガポールで起業することに決めました。
ですが起業する上でざっくり決めていたのは『教育に関すること』『インターネットに関すること』と決めていたくらいで、実際に始めるビジネスについては完全に煮詰まっているわけではありませんでした。
最初はしっかり決めてからがいいんじゃないかという思いでいましたが、『ビジネスの形なんてどうせ変化していく』と思いなおし、ほぼ見切り発車で起業の準備を始めたくらいです。
また日本での起業も当初考えていたのですが、様々なことを考慮して(税金やビジネス環境、生活など)、相当比較検討しましたが、やはりシンガポールで起業するというのが好条件だったのでここで起業し今に至ります。
起業の条件
シンガポールで起業する上で日本と大きく異なる点だけ挙げるとすると、外国人がシンガポールで起業する際は、ローカル(シンガポール人)の取締役1名と、秘書役最低1名が必要になるということ。こちらはサポートしてくれる会計事務所が紹介してくれるので心配無用。
シンガポールに住みながら商売をする場合は、ビザが必要になるということくらいだと思います。ただ労働ビザ取得は確約できるものではなく、あくまでMOM(Ministory od Manpower)が決めることですのであしからず。
起業をサポートしてくれる会社
シンガポールには企業をサポートしてくれる会社はたくさんあるので、最低5つくらい同じ内容で問い合わせたほうがいいです。大抵会計事務所をまわれば起業サポートも行っており、僕も実際6社ほど回りましたが、対応が悪いところは本当に最悪です。
レスポンスが悪いところなどは速攻対象から外す。
そして日系の会社に依頼する場合は、ローカルのそれと比べて圧倒的にコストがかかることを知っておきましょう。超高額です。
ここでは僕が起業に使った、そして現在もサポートしてもらっているのはローカルの会計事務所で、ITを駆使したペーパーレスの企業で、起業時に実際に支払った金額はSGD2,000(約15万円 *2020年5月)。
内容はこんな感じ(一年目に必要な要素全て入ってます)
<登記関連>
・定款作成
→資本金額とか、事業内容、株主とかを決めるやつ
・会社名予約
→ACRA(会計企業規制庁)っていう政府機関に会社目の予約をする必要があって、すでにある名前は予約できません
・登記
→上の会社名予約しACRAから承認
・法人用銀行口座開設
→銀行口座開設のサポート
・ローカルの取締役(一年間)
→シンガポールで起業するときは、まだビザがないためローカルの取締役が必要(名前貸しみたいなもんです)
・秘書役(一年間)
→秘書役も最低1名必要
<一年目の会計処理>
・取締役会開催、議事録作成
→一年に一回行うもの
・AGM(株主総会)
→株主総会の開催、書類作成
・ACRAへの報告
→一年の終わりに行う必要があります
・IRASへの報告(決算)
→税務報告みたいなやつ
<労働ビザ>
・ビザ申請サポート
→労働ビザ取得に必要なサポートをしてくれます
知らいないことを教えてもらうためにお金を投資するのはもちろんいいことですが、僕個人的にはそんなに作業量ないのに、高額なお金を投資することには愚行だなと思います。
今時ググって調べればいくらでも情報出てくるので。
その辺は個人個人の見解ということで。
僕が行ったプロセス(法人設立)
次に僕が会社設立に行ったアクションを一つずつ整理していきます。実際に僕が進めていった順序です。
➀ざっくりと事業構想を練る
この時点で100%具体的になっていればいいですが、なっていなくてもいいと思います。事業を始めていくと自分が思っているように事が進まないことの方が多いので。
➁お金の工面
会社設立は1ドルから出来ますが、当然支払いや投資分などが出てくるのである程度まとまったお金を準備する。ちなみに僕は貯金でためた300万です。
③法人設立サポート会社を探す
これは自分でもできるのですが、専門書類などの準備を鑑みると利用するほうがいいと思います。そして先述しましたが最低でも複数社の会計事務所をまわるといいと思います。会計事務所は大抵起業サポートをしているのと、会計処理も当然行っているので一か所で事が済みます。
(ここからサポート会社が入る)
④会社名の予約
シンガポールにはACRA(会計企業規制庁)という機関があり、自分の希望する会社名を予約して、それを承認される必要があります。
⑤ACRAの承認
上記④会社名をACRAが承認
➅ローカル(シンガポール人)取締役の選任
これはサポート会社が代理の取締役を据えて、大抵の場合1年間その代理を務めてくれます。務めるといっても名前貸しみたいなものなので特にビジネスをドライブさせてくれるとかではありません。
➆秘書役の選任
こちらも上記同様会社設立時に必要で、サポート会社が選任してくれます。
➇定款の作成
資本金、取締役、事業内容などの詳細を記載した内容をサポート会社が作成してくれます。
➈登記
オンラインでサポート会社が行ってくれます。
ACRAに承認されれば登記完了。
➉銀行口座開設
登記が完了すると、法人用の銀行口座を開設。この講座が事業をする上でのメインバンクになります。解説が終わったら、ここで資本金の増資も行えます。
⑪ビザ申請
➉と同時に労働ビザの申請を行います。これもサポート会社が行ってくれるので、必要書類を提出するだけ。
⑫取締役会開催
これは書面のみで済ませることが出来、サポート会社が手はずを整えてくれるはずです。
以上ざっくりと僕が法人設立したときはこんな感じで進んでいきました。
最初はわからないことだらけで上記のプロセスが正しいの否かはわかりませんが、現在普通に会社経営出来ているので問題ないと思います。
そして僕が選んだ会計事務所は24時間体制でチャット対応してくれるので、わからないことがあればチャットして解決してっていう感じでとても効率よくコミュニケーションできています。
もうメールでやり取りとかいちいち電話とか面倒くさいので。
決算
僕の場合7月に法人設立したので、6月までが一年という計算になっています。
決算で必要な書類は主に、
・給与明細
・請求書
・領収証
・経費
・毎月の銀行の履歴
を提出する感じです。
これも会計事務所が必要な書類を教えてくれるので、事業を開始したら出来るだけ自分でも上記の書類をファイルごと、もしくはひと月ごとにまとめていくことをお勧めします。
僕は一年目書類をしっかりまとめていなかったのですごく手間がかかりましたが、二年目は上記をしたおかげで、Zipファイルにしてサクッと送るだけで終了しました。
まとめ
外国で法人設立というとすごくハードルが高いイメージですし、かく言う僕も最初は何もわからない状況で進んでいきました。
そして一つずつ自分でアクションを起こしていくと、何にお金を使う必要があり、何をコストカットできるのか明確になってきます。
僕の場合はローカルと日系の会計事務所両方に相見積もりして、その金額の差に愕然とし、何が違うのかを比較検討しましたが、違うのはこれだけ
『日本語でやり取りできるか否か』だけです
最初にまとまったお金が出ていくのは避けたいところですし、探してみると僕が使っているようなIT駆使したローカルの会計事務所とかあるので、是非自分の価値判断で決めてもらいたいです。
シンガポールで起業を考えている方にとって参考になればい幸いです。